ダンデライオン~春、キミに恋をする~
なんだか妙に懐っこいと言うか。
隙があるというか。
とにかく、あたしを見る視線の中に、『特別』を感じちゃうんだ。
これが、自惚れってやつかな。
荷物の整理をしながら、背中に感じる視線。
「……」
「……」
なぜかあたしも響も黙ってしまって、この部屋の中に緊張が走る。
何か起きそう……。
そう感じずにはいられなかった。
「おせーし!」
「ご、ごめんなさい」
大野健吾にギロッと睨まれて、思わず肩をすくめた。
って、なんで!?
さっきも言ったけど、一応あたしアンタよりセンパイなんですけどー!
「はあ……大丈夫かな。いい?3日間、みっちり働いてもらうから。それと、今回、センパイ達を呼んだ意図、忘れないでね。 2人の行動監視させてもらうから」
「え! か、監視!?」
大野健吾は、あたしの驚いた顔を見て、にんまりと満足そうに笑った。
「あたりまえじゃん。 俺は今回嘘を見抜くために呼んだんだから」
「……なにそれ。 む、無理だし!」
こわー!
どうしよう……ほんとは嘘で。
響の好きな人が泉先生だってばれちゃったら!
あたしにかかってるんだ……。
ゴクリと生唾を呑み込んで、チラリと響を見上げた。