ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「椎菜、好かれてるんだね」
「え?」
な、なんだろう。
その、他人事みたいな言い方……。
なんかショック……。
まるで無関心な響。
そんな響きに、想像以上に凹む自分がいて。
だけど、ハッと気づくと大野健吾があたしの顔色を伺うようにジッと見ていて。
あたしはさっさと2人を追い越した。
「う、海の家のバイトとか初めて!
……どのくらい働くの?」
時間は10時を回ったところ。
夏の日差しは、いよいよ本格的にあたし達を照らす。
暑い。
のに……。
なぜか握りしめたあたしの手はすっごく冷たくて驚いた。
「今日は3時まで。それからは自由だよ。
でも、明日は土曜だから夕方までやってもらう。
最終の日曜は、7時から花火大会もあるから、9時まで。人の出入りにもよるけど、たぶんそんな感じになると思う」
「ハードだね……」
バイトって言えば、カフェでやっていたくらいで。
それも、スローテイストで、のんびりをテーマにしてたカフェだから意外と働くのも忙しくはなかった。
楽ではなかったけど。
それを思うと、今回の海の家のバイトはかなりハードだ……。