ダンデライオン~春、キミに恋をする~
う、運命って……。
あるのかも……。
「ちょっとーっ。 シィ? さっき言ってたのって?」
背中をつついた沙耶が、興奮気味に言った。
あたしはコクコクと頷くことしか出来なくて。
沙耶のその声さえも、まるで膜が張られたみたいにくぐもって聞こえる。
体中が心臓になったみたい。
喉のへんで、ドクドクうるさい。
「成田は、親御さんの仕事の関係で遠くから越してきた。 みんな仲良くするよーに」
ショウちゃんはそう言って「席はー……」とクラスを見渡した。
もう、あたしの瞳は成田くんに釘付け。
でも成田くんときたら、あたしの事なんてもう興味ないみたに視線を下に落としてた。