ダンデライオン~春、キミに恋をする~
なぜか救われたような気持になる。
顔を上げると、大野健吾が満面の笑みでこちらに向かって手を振っていた。
逆光になった大野健吾。
まぶしくて、思わず目を細める。
「ぶわはは。 椎菜ぁ、んだその顔ぉ、チョー疲れてんじゃん!
でもまあ、後半は慣れてきてたから、使えるようにはなってたけどぉ」
「……うっさい!」
指さして笑う、大野健吾。
む、むかつく……。
ツーンと顔をそむけたあたし。
だけど、その先にまわりこんで、大野健吾はニヤリと笑う。
「すぐムキになんなぁ。アンタ。 でもそこが可愛いけど」
「……えっ?」
か、かわいい!?
な、なんか今、サラリと恥ずかしい事言われた?
ガバッと顔を上げると。
白い歯をのぞかせてニコリと微笑む大野健吾と目が合う。
ドキッ
ううッ!
何コイツ……。
冷たくしたと思ったら……優しくして……。
意味もなく頬が火照る。
それがわかるから、あたしはパッとうつむいた。
チラリと顔を上げると、当たり前のように響と目が合って。
同じように微笑む響に、あたしはどうしたらいいかわからなくて、またうつむいた。