ダンデライオン~春、キミに恋をする~


その日の夜。





「わあ!……すごい……」


目の前に並ぶ料理が、キラキラ光って見える。

だって……だって、あたしたちバイトをしに来ただけなのに。
机に並ぶ料理は、どこからどう見ても旅行に来て食べる料理だ。


お刺身のお造り……。
それに、創作料理。
天ぷら……もう、どれをとっても美味しそう!

イヤイヤ来たけど……。
嬉しいかも!




「いただきます」

「いっただっきまーす!」




だけど……。




「……いただきます」




だけど、唯一気がかりなのは……。





「なんでアンタがいるの!?」




目の前で、美味しそうに麦茶を飲み干すこの男がいること!!!!



「ぷはぁ! やっぱしうまい!でも、この麦茶がビールならさらにうまさ倍増なんだけどなー」

「オヤジくさっ」



日に焼けた真っ赤な顔。
あたしの言った事なんか、まるで関係ないみたいに大野健吾は隣で大盛りのご飯をほおばりだした。



「……もう」



目の前には伏し目がちのまま、静かに並んだご飯を口に運ぶ響。



……なんであたしと大野健吾が隣同士なの!?
つか、なんでアンタがいるのよー!


……気が抜けない……。



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