ダンデライオン~春、キミに恋をする~
――……チャプン
薬草風呂が内風呂で、外にヒノキ風呂と書かれた札が出てる。
誰もいない……。
「貸切だあ……」
なんだかそれだけのことがすっごく嬉しくて。
身体を洗い流して。
乳白色のお湯の中に入った。
温泉と言えば冬だけど、夏の温泉も最高!
だって、まずは寒くないし?
星だってすっごくキレイ。
少しだけ高台になってるこの場所から、海も見渡せた。
「……」
……これが、あと2日……。
あたし、大丈夫?
てか、大野健吾はあたしと響の関係を暴いて
どうするつもりなのかな……。
『好き』って、本当に?
……アイツの行動を見てると、どうもあたしの反応をみて楽しんでるようにしか見えないんだもん。
響は本当はどう思ってるのかな……。
小さな文庫に目を落とす響の横顔が浮かぶ。
月明かりに照らされて、すっごくキレイ。
きっと、あたしが大野健吾になにされてても
響には関係ないんだろうな……。
「……」
あーッ、もう!
鼻まで一気にお湯にすくむと、勢いよく立ち上がった。