ダンデライオン~春、キミに恋をする~
月明かりの中。
廊下を歩いてくるのは……。
「おかえり」
響だ……。
あたしにきづいた響は、髪をふわりとさせて笑う。
トクン
「た、ただいま……」
あたし、やっぱりこの笑顔に弱いなぁ……。
ぼんやりと眺めていると、何かに気付いたように響は「あれ」と小さく呟いた。
今度はあたしが首を傾げる番。
え、え?
なに?
ドキン
考えてるうちに、なぜか近づく響の顔。
小首を傾げて、その綺麗な唇を薄く開けて。
ドクン
伏し目がちの響から視線が逸らせない。
ドクン
なにが起こってるの?
たった今自分に起きてる事が理解できなくて、あたしの頭の思考は緊急停止。
両手で抱えていた袋をギュッと胸の中に押し込めた。