ダンデライオン~春、キミに恋をする~
成田くんは肩にかけていたスクバを手に持つと不意に顔を上げた。
……え?
な、なに?
こっち見てる?
しかも、こっち来る!?
狭い机の間をぬって、こちらに歩いてくる。
心拍数は急上昇。
体温もぐんぐん上がってる。
……。
…………。
成田くんはあたしの目の前に来ると、そこで立ち止まった。
思わず、ゴクンと唾を飲み込む。
な、なになに?
なんとなく身構えてしまう。
そして、あたしを見下ろしていた彼の瞳をスッと細められた。
どっくん!
「よろしく、間宮さん」
あたしにだけ聞こえるように言って、彼はふわりと笑った。
耳まで熱くなるのを感じて、あたしは慌ててうつむいた。