ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「……」
…………。
寝てると思ってた。
『おやすみ』って。
そう言った。
振り返ったその先に、腕を枕代わりにして横たわる響。
彼は、起きていた。
「あ………」
「…………」
流れる前髪の奥で、間違いなく響はあたしを見てる。
ドクン
ドクン
ど、どうしよう。
どうしたら……いいの。
何も言わない響。
だけど、その瞳の呪縛から解かれることはなくて。
息が、詰まる。
ドクン ドクン
「……ひ、響……」
たまらずその名前を呼ぶ。
何か言ってくれる気がして。
だけど響は、少しだけ目を細めると。
「なに?」
って掠れた声で小さく聞き返してきて。
ずるいよ……。
もう、心臓が壊れちゃう……。