ダンデライオン~春、キミに恋をする~
波の音が聞こえる。
どこからか虫の鳴く声もする。
開けた窓からぬるい風。
「……え……と、ね」
「うん」
「……」
かあああってどんどん体が火照ってく。
真っ直ぐに見つめられて、その瞳はあたしの心の中まで見透かしてそうで。
どんどん、どんどん熱くなる。
「あ、あの、響が来てくれるなんて思わなくて、び、びっくりした」
「え?」
ぎゃあ!
響、キョトンってしてるじゃん!
もう、さっきから何が何だかわからなくて。
頭の中、真っ白。
全身が心臓になったみたいで、手にはジワリと汗ばんできた。
「だから、その……ほ、ほんとあの大野健吾って勝手だよね!人の迷惑考えてないってゆーか……」
その後の言葉は出てこなくて。
あたしはカラカラになった喉をなんとかしたくて。
ゴクリと唾を飲み込んだ。