ダンデライオン~春、キミに恋をする~
次の日も快晴。
青よりも青い空。
そして、境界線のあいまいな海だ。
風も穏やかに流れていて。
真っ白な入道雲と、山から聞こえてくる蝉の声が、今日も暑くなるんだと教えてくれていた。
「おはよ、センパイ。 よく寝れた?」
「……」
民宿の玄関に咲く向日葵のような笑顔の大野健吾。
なんか彼の顔を見ただけで、自分があからさまにいやな顔してるのがわかる。
“よく寝れた”なんて、絶対嫌味。
あたしが響と同室で、ゆっくりできたはずがない。
……コイツ。
やっぱり何か知ってるの?
ニコニコ微笑む大野健吾をジトーッと睨んだ。
「ふぁああ。おはよ」
そんなあたしの背後から、大きなあくびと共になんとものんびりした声が。
もちろん声の主は、響だ。
フワフワの髪をクシャリとすきながら、やたら眠たそう。
……。
響は……、寝れたのかな。
あたしは先に寝ちゃったから、響がいつ寝たのか知らないんだよね。
「……」