ダンデライオン~春、キミに恋をする~
ジ――。
それにしても。
あの夢……リアルというか、なんというか……。
もし、本当に響とキスするとしたらあんな感じなのかなぁ。
「……俺の顔なんか付いてる?」
「へっ!?」
って、うわあああ!
あ、あたしってば、無意識のうちに響の唇見つめまくってたし!
「な、なんでもないよ! なんでもっ」
「……、ふーん?」
両手を前にバッと突き出して、大げさに振った。
そんなあたしを見て、響は少しだけ口元を緩めると、フッと笑った。
うう。
……泣きたい。
それから、また海の家であたし達はめまぐるしく働いた。人足は途絶えることはなくて、息を付く間もない。
あっつーい!
着ていたTシャツも汗びっしょり。
手の甲で額の汗をぬぐうと、人が入り乱れてる店内を見渡した。
今日は土曜日ってこともあって、いろんな人がいる。
お客さんが多い分、あたし達みたいなバイトも多いんだけど……。
「……すごい」