ダンデライオン~春、キミに恋をする~
・ふたりの距離とキスの意味
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3日目。
今日も昨日と一緒。
あと30分もしたら花火大会が始まる。
だからなのかお店の中の人がまばらになってきた。
「疲れたあ」
少しだけ休憩をもらって、お店のテーブルに両手を投げ出した。
突っ伏したまま海の方を見る。
「……」
あと2時間もしたら終わり。
あたしと響の嘘を見破る。
なんて言っておいて、大野健吾は何も聞かないし何も行動を起こさない。
なんで?
太陽はすでに海と空の境界線にいて。
世界をオレンジ一色に染めている。
夜に呑み込まれようとしてる。
あたしは、この儚い一瞬が好き。
すべてを洗い流して、無になる夜。
そしてまた新しい朝が来る。
ぼんやりとそんなことを考えながら、太陽が沈んでいく様子を見つめていると。
ヒュルルルって音が耳に入ったかと思うと、目の前に大輪の花が咲いた。
「うわぁ…きれー」
夏の風物詩。
花火大会が始まった。