ダンデライオン~春、キミに恋をする~
覚えててくれたよぉ。
熱くなった頬を抑えながら、チラリと成田くんを見上げた。
前の席!
グッジョブ、ショウちゃんっ!
まるで夢見心地でHRが過ぎ、そんなだから予鈴にも気がつかず、ショウちゃんの呼びかけも聞こえなかった。
「おい、間宮? お前大丈夫か? さっきから顔が赤いな……熱でもあんのか?」
「……」
「おーい?」
「……」
なんかいい香り……。
バニラみたいな……
なんかすっごく美味しそうだよぉ。
これも、成田くん?
笑顔も素敵で、ルックスもよくて。
おまけにいい匂い。
完璧……。
「…………間宮あぁああ!」
「はッ、はいぃ!」
鼓膜を叩くような声。
弾かれるようにして顔を上げると、すぐそこにはショウちゃんの綺麗な顔。
「え、あ、あれ? ショウちゃん?」
「ショウちゃん?……じゃない!お前、大丈夫か?」
呆れたように顔をしかめたショウちゃん。
そんな顔もさまになってるよ?
なんとなくぼんやりと眺めていたら、体を起こしながらショウちゃんは腕を組んだ。
「ったく。 間宮、お前帰りにちょっと俺んとこに来い」
「……え?」