ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「ちょ、待って!」
「ほらほら、せっかくだし花火見に行こうぜ」
「や……」
ええええッ!!?
あたしに拒否権はないのか!
掴まれた手首が痛くて、引き離そうにもどうすることもできない。
このままコイツと花火を一緒に見るの?
やだあああ!
そんなあたしの気持ちなんか、お見通し。
大野健吾はあたしを見下ろすと、イジワルな笑みをこぼした。
グイグイと引っ張られて、お店の外に飛び出した、ちょうどその時。
……あ。
「……うわぁ、タイミング悪ぅ」
ビーチの方から伏し目がちの響がこちらに向かって歩いてきた。
あたしのこの状況に気付くはずもない。
……響……。