ダンデライオン~春、キミに恋をする~

ーーー助けて。

そう願っても、響が顔を上げることはなくて。



あはは。
そうだよね。

あたしがここにいても、響は気付かない。
当たり前だよ……。




なんだか急に現実感。

このまま、コイツと一緒にいたほうが、いいのかもしれない。

そう思った瞬間、無性に悔しくて。
悲しくて。


まるでフィルターがかかってしまったみたいに、どんどん響が見えなくなる。

あたしは耐え切れなくて下唇をキュッと噛みしめた。



「チッ」って舌打ちが聞こえたかと思うと、大野健吾はさらに引っ張る手に力を込めた。




「……っいた」



響に気を取られていたあたしは、少しだけバランスを崩す。


でも、気が付いたらあたしの目の前に影が落ちてきて。
見上げるとフワフワの髪が、打ちあがる花火で七色に色を変えていた。



…………あ……。


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