ダンデライオン~春、キミに恋をする~
『俺の』
カノジョぉぉぉお!!?
そこまで言われてない……けど、そう言うことだよね!
信じられなくてキョトンとしたあたしの腕を、大野健吾から引き離すと響は歩き出した。
「バイトはもう終わりなんでしょ?」
「え? あ、うん……」
背後に痛いくらいの視線。
しっかりと握られた手が、熱い。
期待しちゃダメなのに、誤魔化すためだって、わかってるのに。前を見たままの響の手があたしのよりもっと熱くて。
なんだか泣きそうになる。
あたしからは、背の高い響が今どんな顔でいるのかわからない。
だけど、ちょっぴり苛立ちを含んだ砂を蹴る足音が聞こえるたび。
夜空に打ちあがる花火で、七色に染められた彼の髪が揺れるたびに。
嬉しい。
嬉しい。
すき
…………スキ。
気持ちが溢れてく
なにも言わないままの響。
あたしも言葉が見つからなくて。
「俺、まだ諦めねーから!」
行きかうたくさんの人並みの中から、大野健吾の声が聞こえた気がした。