ダンデライオン~春、キミに恋をする~
今日は午前中で終われるし、これからみんなで駅前のパフェ食べに行く約束してたのに……。
ショウちゃんのバカァ……。
「いいか? 忘れんなよー」
そう言って、ショウちゃんはなんとも面倒くさそうにあくびをしながら、グルグルと首を回して教室を後にした。
あーあ。
怒られるのかな。
「はぁー」と小さく溜息をつきながらがっくりと肩を落とす。
「シィ、ごめん~っ。 ショウちゃんにウソ見破られてさぁ」
振り返ると、沙耶が顔の前でパチンと手を合わせたとこだった。
沙耶の大きな瞳が、揺れている。
「え? いいのいいの。 だって、あたしが寝坊しちゃったのが悪いんだもん」
あははと笑いながら、手を振って見せる。
「ショウちゃんのことだし。 きっと何だかんだ言っても大目にみてくれるよ」
「だといいけどなぁ……」
机にかけてあった鞄を手にとると、あたしはイスから立ち上がった。
「じゃ、行ってくるね、先に帰ってて?」
「ん、わかった。シィ、ファイト!」
なぜか沙耶にエールを送られつつ、あたしは重い足を引きづりながら職員室へ向かった。