ダンデライオン~春、キミに恋をする~



今日は午前中で終われるし、これからみんなで駅前のパフェ食べに行く約束してたのに……。

ショウちゃんのバカァ……。



「いいか? 忘れんなよー」


そう言って、ショウちゃんはなんとも面倒くさそうにあくびをしながら、グルグルと首を回して教室を後にした。



あーあ。

怒られるのかな。




「はぁー」と小さく溜息をつきながらがっくりと肩を落とす。






「シィ、ごめん~っ。 ショウちゃんにウソ見破られてさぁ」



振り返ると、沙耶が顔の前でパチンと手を合わせたとこだった。
沙耶の大きな瞳が、揺れている。


「え? いいのいいの。 だって、あたしが寝坊しちゃったのが悪いんだもん」


あははと笑いながら、手を振って見せる。


「ショウちゃんのことだし。 きっと何だかんだ言っても大目にみてくれるよ」

「だといいけどなぁ……」


机にかけてあった鞄を手にとると、あたしはイスから立ち上がった。


「じゃ、行ってくるね、先に帰ってて?」

「ん、わかった。シィ、ファイト!」


なぜか沙耶にエールを送られつつ、あたしは重い足を引きづりながら職員室へ向かった。



< 20 / 364 >

この作品をシェア

pagetop