ダンデライオン~春、キミに恋をする~
Season3 金木犀と涙
・誘惑する王子様
夏休みも終わり、季節は秋。
と言っても、まだまだ暑くて。
日陰にいないと、ジワリと汗をかく。
あたしは相変わらず、お弁当を持ってあの箱庭に来てるんだけど……。
夢かと思ってたあの出来事は、どうも本当だったみたいで……。
あたしは戸惑っていた。
「ん、キスしていい?」
「えっ!ちょっと待っ……」
突然首筋に伸びてきた手で我に返る。
気が付くと、響のきれいな顔が目の前にあって、伏し目がちの瞳があたしを捕えた。
ドキッ!
反射的に身を引くと。
少しだけ顔を傾けた響が、まるですねたように目を細めた。