ダンデライオン~春、キミに恋をする~
タンタンタンタン
一気に駆け上がったせいで少しだけ眩暈がする。
スー……はぁあああ
深く息を吸い込んで、あたしは意を決して手を伸ばした。
錆びれた鉄のドアが、重い悲鳴を上げて開く。
その先の眩い光に、思わず目を細めた。
「まぶし……」
扉の先は、青い青い……空。
一気に吹き込んでくる風に、スカートの裾がふわりと広がる。
それを手で抑えながら、あたしは空を仰いだ。
気持ちいい。
あたしは空から視線を落とすと、入り口にそって歩いた。
……あ。
履き崩した上履き。
グレーのズボンが投げ出されてるのが、壁の向こう側に見えた。
そーっと音をさせないようにあたしは近づいてみる。
静かに……静かに。
「……ふふ。 やっぱりいた」
少しずつ見えてくる、そのズボンの先。
まるで日向ぼっこするみたいに、気持ちよさそうに寝てる響だ。