ダンデライオン~春、キミに恋をする~
まるで耐え切れないって感じで吹き出したその声に、ハッとして顔を上げた。
見ると、壁に背中を預けたままお腹を抱えて笑う響がいて……。
「む。……なによぉ」
楽しそうに笑う響に肩の力が抜けて、思わず拍子抜け。
キス、されるかと思った……
「そんな笑う事? あたしなにもしてないのにぃ」
「ごめん……あんまり困ってるからさ」
「……」
……うっ。
またからかわれた……。
そう言ってまた肩を揺らして笑う響をジトーッと睨んで、あたしは立ち上がった。
そんなあたしに気付くと、響は首を傾げた。
「……椎菜?」
「エリコが響の事、探してたよ。 サイズ測りたいんだって」
ツーンとそっぽを見てみたりして。
これくらい、いいでしょ?
「なんだ、俺に会いに来たわけじゃなかったんだ」
なんてぶつぶつ言いながら、立ち上がった響。
立ったついでに「うーん」と両手を空に伸ばした。
見上げると、ちょうど逆光になって思わず目を細めた。
と、その時。
「……」