ダンデライオン~春、キミに恋をする~
急に視界に影が落ちてきたと思ったら。
甘い香りに包まれていた。
え?
顔の横に伸ばされた腕。
視界をふさぐえんじ色のネクタイ。
ドクン
そして、
不意に唇に触れた、柔らかい感触。
「……」
それは触れるだけの優しいキス。
そっと唇を離した響は、伏し目がちの目をグッと細めた。
「ちゃんと起きるよ。 けどその前に、」
「……え」
きょとんとしたあたしに、甘ったるい笑顔を降らせながら
響は唇をかぶせた。
さっきのキスとは違う。
もっともっと、甘い。
「……ん」
壁と響の間で、耐え切れなくてそっと響のシャツの袖をつかんだ。
最後はチュッとついばむようなキスをしてそっと離れた響。
「充電カンリョー」
なんてそんな事言いながら、嬉しそうに笑うから……。
性懲りもなく、あたしの顔は熱くなった。
……その笑顔、反則です……。