ダンデライオン~春、キミに恋をする~
そしてあっという間に学祭当日。
一般公開もしてるから、普段より賑やかな校内。
あたし達のクラスも、とっても好評で。
「すごい人だね」
「……」
真っ赤な布地に、淡い色のアジサイ柄の浴衣姿の沙耶。
長い髪をアップにして、すごく色っぽいのに……。
机に頬杖をついて、うんざりしたように人混みを眺めるその顔は怖い。
だけど、あたしも沙耶の隣で同じように頬杖をついて、その視線の先を追った。
それは……。
「つか、この原因はしぃの彼氏なんですけどー」
「……」
そう言って、ジロリとあたしに視線を送る。
ええ!?
まるであたしのせいみたいに……。
うぅーん。
そうなんだ……。
『お江戸カフェ』は思いのほか好評で。
しかもお客さんは女の子ばっかりで、みんななぜか笑顔に溢れてるの。
目的は……。
「もぉ~、成田くん浴衣似合いすぎ!」
「うんうん。 てか、最近いいよねぇ。あの髪に触りたいー!」
目の前を通りすぎる女の子たちが、ほんのり頬をピンクに染めて話してるのが聞こえる。
それを聞くたびに、ビクリと震える体。
そして、いやーな汗をジワリとかく。
響がよく思われるのは、嬉しいけど。
……嬉しくない。
なんだか複雑なんだよなぁ……。