ダンデライオン~春、キミに恋をする~
・スキが積もる
案の定、大野健吾はあたしの邪魔をひたすらし続けて、結局1時間くらいここにいた。
彼がいなくなるのと同時に急に静かになる教室。嵐が去る、とはこのことだ。
人があふれかえってて、賑やかなのはいいのだけど……。
「思ったんだけど、椎菜の周りって、変わった人が多いね」
そう言って、グラスに入った水をクイッと飲んだのは。
響……。
あなたに一番言われたくないかも。
「ハハハ。 疲れたね」
なんて思った事は、内緒にしとこう。
それからあっという間に時間は過ぎて、学祭は怒涛の如く過ぎ去ってしまった。
終わってしまえば呆気なくて、なんとなくぽっかりと心の中に穴があいてしまったような、そんな喪失感に襲われていた。
もうすでに窓から差し込む太陽の日差しは、オレンジに色を変えていた。
「しぃ! 待って。手伝う」
大きなごみ袋を両手に持って、教室を出たところで、沙耶が声をかけてきた。