ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「大丈夫だよ。大和が待ってるんでしょ?早く行ってあげなきゃ!」
「でも……」
「いいの、いいの!こんくらい1人でヘーキ」
そう言って、あたしは笑顔を作って両手の袋を持ち上げて見せた。
「……そっか。うん。ありがとう、またメールする」
「りょーかい。またね」
「ん! バイバイ」
頬を少しだけ赤らめて去っていく後姿を見送ると、沙耶とは反対方向へ向かって歩き出した。
なんて。
ちょっと自分の力を甘く見てたかな……
重い……。
袋を掴む指先がジンジンしてきた。
グッと歯を食いしばってもう一度手に力を入れた。
顔を上げると、見えてきたのは渡り廊下への出口。
肩にかけた鞄がずり落ちそうだ……。
指が痛くて、大きな袋を廊下を置こうと身をかがめた、
まさにその時だった。
目の前に影が落ちて、急に手が軽くなった。