ダンデライオン~春、キミに恋をする~
キョトンとして、何度も瞬きを繰り返すあたし。
響はそんなあたしを見て、面白そうに目を細めると小首を傾げた。
「椎菜、キスしてもいい?」
…………。
「……え」
悪戯に微笑んで、わざわざ確認をとる響。
我に返ったように、一気に頬が火照る。
……わざと?
それって、わざとやってるの?
「も、もうしてるじゃん……」
ジトーッと目を細めたあたしに、「っはは」って声を上げて笑うと響はさらにその顔を寄せる。
「ほんとだ」
小さくそう言うと、響の手が頬に触れた。
髪を優しく撫でられて、
耳の後ろから支えられるように回された手に胸がきゅんと締め付けられる。
伏し目がちの響の長いまつ毛。
その奥の色素の薄い瞳が、甘く熱っぽい視線をあたしに落とす。
それだけで、意識が飛びそうだ。
ゆっくり。
ゆっくり近づく距離に、目眩を感じて思わずキュッと目を閉じた。
そして。
瞳より熱い唇が触れた。