ダンデライオン~春、キミに恋をする~
もし、今になって、泉先生の気持ちが響に向かっていたとしたら。
あたしの知らないところで、先生と響の関係が進んでいたとしたら……。
あたしは、どうしたらいいんだろう。
響の先生への『想い』を、あたしは知ってる。
“その時”は、あたし……笑って、
『よかったね』
『よかったね、響』って言えるんだろうか。
響が好き。
その気持ちは、きっと先生にだって負けない。
負けるわけない。
でも……いくらあたしが響を強く想っても、それが通じなくちゃ意味がないよ……。
ねぇ、響?
今……、何を思うの?
まっすぐに前を見据える彼の後ろ姿をジッと見つめながら、あたしは下唇を噛んだ。
「じゃあねー! またメールするから」
「また来年ね~」
なんて言葉を交わしながら、教室から次々に飛び出していくクラスメイト達。
あたしはそれをぼんやり眺めながら、カバンのチャックをしめた。
来年……か。
席替えをして、少し離れた席に座る響を見る。
椅子に深く腰を落としたまま、響はケータイの画面を見つめていた。
――……誰から?
そう思って、フルフルと首を振った。
ダメダメ!
あたしってば何考えてんの!
響だって、友達とメールくらいするっての。
自分に言い聞かせるようにそう考えて、勢いよく椅子から立ち上がった。