ダンデライオン~春、キミに恋をする~
見上げると、あたしから顔を背けたままなぜか肩を揺らす響がいて。
「あのぉー……響?」
なんで笑ってんの?
あたし、まだ何も言ってないんですけどぉ
キョトンとしてると、笑いが収まらないのか、目じりに涙をためたまま響がチラリと視線を落とした。
「ごめ……。何考えてるのか知んないけど、すんげぇ百面相」
「えっ」
で、出たっ
あたし、また色んな顔してた?
恥ずかしい……。
意気込んでるの、見られてたのか……。
カアアアと頬が火照るのを感じて、空いてる手でササッと前髪を撫でる。
「隠すなよー」
その言葉と一緒に、色素の薄いフワフワした栗色の髪が視界に滑り込んできた。
ドキーン!
ついでにビー玉みたいなキラキラした瞳で覗き込まれ、心臓が暴れだす。
そして響は、容赦なくトドメの一言を放った。
「可愛いのに」
ズキューーーン!
か、かかかわ!?
今、絶対あたしの心臓に矢が刺さったと思う……。
ボンって感じでさらに真っ赤になって、口をパクパクさせてるあたし。
マフラーに口元を埋めた響が、そんなあたしの反応を楽しむかのように、無邪気な笑顔を見せる。
だ、ダメだ……。
あたし、きっともうすぐ死んじゃうと思う。
だって、さっきから心臓痛いもん。
ドキドキしすぎだもん。