ダンデライオン~春、キミに恋をする~
・不協和音
でも。
響は、あたしへのキスをやめない。
それどころか、もっと深く重なる。
「んっ……」
息つく暇さえなくて、苦しくて。
胸の前でギュッと握りしめてた手が、響によって組み解かれてく。
ピンポーン
ピンポーーン
何度も鳴らされるそのベルに、グッと響の動きが止まる。
そこでようやく十分な酸素が肺を満たして、はあっと大きく息をする。
ピンポーン
また聞こえた。
ずいぶん、しつこいな……。
眉間にシワをよせて物凄く不機嫌そうな響に、恐る恐る声をかける。
「あ、あの……響? で、出た方が……」
「……ああもう……」
えっ
溜息と一緒にブツブツ聞こえ、ガクッて感じでうな垂れた響。
あたしから離れると、そのまま両手で顔を覆ってしまった。
しばらくして、のそのそ起き上がると、リビングを出て行ってしまった。
…………。