ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「の、飲めないわけじゃないし!
ちょ、ちょっと苦手ってゆーか」
「あーはいはい。んじゃ、そう言う事で。またねセーンパイ☆」
「え、きゃ……」
無造作にあたしの髪をくしゃりと撫でて、大野健吾はイルミネーションで煌めく夜の街に消えて行った。
ほんと、嵐のようなヤツ……。
でも、そっか……。
最後まで、アイツが言いたかったこと、わかった気がする。
だけど。
前から思ってたけど、なんでアイツあたしより大人っぽいの?
悔しいから、言ってやんないけど。
だけど……、アイツのおかげでちょっとだけ前向きになれたし、今度コーヒー奢ってあげようかな。
「……帰ろう。帰って、響にメールしよ」
自分の気持ち。
響の気持ち。
泉ちゃんの気持ち。
まだちゃんとわかんないんだもん。
ウジウジ考えるのは、全部知ってからでも遅くないよ。
鞄からマフラーを取り出して、それを鼻が隠れるまでグルグル巻いた。
そして、あたしも一歩を踏み出した。