ダンデライオン~春、キミに恋をする~

・静寂なる星の瞬き



「ただいまー……」


玄関を開けると、ふわっと香る美味しそうな匂い。
うちはうちで、クリスマスパーティをしていたらしい。

リビングから家族の楽しそうな声がして、ホッとした。



「ごちそう様でした。じゃあ、失礼します」


その声と一緒にリビングの扉が開いて、中から一層賑やかな声が届く。


「あ、おかえり~。早かったんだね」


ほんのり頬をピンクに染めた七美がプククと含み笑いをして、あたしに駆け寄ってきた。


「おかーさーん、おねーちゃん帰ってきたぁ」


リビングに向かって声をかけると、これまた頬を染めたお母さんが顔を出す。


「おかえり~」


七美を通り過ぎて、さらにあたしも追い越した母は、玄関から外を覗いた。
何かを探してるらしいけど……。



「……椎菜、ひとり?」

「え? あ、当たり前だよ!」

「なぁーんだ。せっかく美味しいお寿司があるのにぃ」


出た。

お寿司って……。

うちって、クリスマスと言えばお寿司なんだよね。


てか、なにがっかりしてんのよ。
つまんなそうに、目を細めたお母さんは完璧酔っぱらってる。

もう。


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