ダンデライオン~春、キミに恋をする~

なんで?

なんでそんな顔するの?



「それじゃ」

「え? ちょ……響?」



響はそう言うと、イツキ先生には目もくれず踵を返すように来た道を帰って行った。



「響!あ、お騒がせしてスミマセン。それじゃ、おやすみなさい」



先生は律儀にあたし達に向かってペコリと頭を下げると、すでに小さくなった響の背中を追って慌てて走って行ってしまった。


その場に取り残されたあたし達家族3人は、ただ彼らが去って行った先を眺めたまま固まっていた。



「……超イケメン。おねーちゃんずるい」

「……笑顔がいいわね」



お母さんと七美がうっとりとそんな事を言ってる。


うん。そーなの。
響ね? 首を傾げて笑った顔がすごく素敵なの。

でも、それだけじゃないよ。
響のいいところは、それだけじゃない。

気持ちが溢れる。
1分……んーん。1秒前よりも、もっともっと響を好きになってく。


だけど。

だからなおさら、最後に見せた響の顔が胸の奥にジンと焼きついて離れない。


ごめんねって……どういう意味?

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