ダンデライオン~春、キミに恋をする~
クリスマスイヴの今日。
とうとう会ってしまった響とお兄さん。
イエスさま、どうかお願いです。
響を守ってください。
彼の心を、守ってください……。
あたしは、もう十分です。
だって、響がクリスマスのプレゼントをくれたんだから……。
響から渡されたそれを、大事に大事に小さな胸の中に押し込めた。
その日。
テレビのニュースではもしかしたらホワイトクリスマスになるかもって言ってた。
でも、その予報は見事にハズレ。
見上げたビロードの夜空には、輝く満天の星が広がっていて。
まるで、お話してるみたいに
キラキラと瞬いて見えた。
あたしの吐く息だけが、白く視界を遮って
そのまま夜空に吸い込まれていく。
風もない
なにもかも息をひそめてる
静寂な、聖なる夜――。