ダンデライオン~春、キミに恋をする~
額に手をかざして、目を細めた。
見えるのは。
キラキラ光る、新緑の木々。
ちょっとだけ霞がかった青い、春の空。
真っ白な綿菓子の雲。
東校舎と西校舎の間に、こんな小さな中庭があったなんて。
まるで、箱庭だ。
キレイ……。
ちょっとだけ感動しちゃったりして。
「間宮、ここだ。 お!えらい、ちゃんと来てるな」
ショウちゃんのその言葉で、ふと視線を戻す。
ん?
「あ。 あああ!」
思わず叫んでしまう。
あたしのその声に、ショウちゃんに呼ばれたその人も顔を上げた。
若葉が生い茂っている木陰に、この箱庭にふさわしい古ぼけたベンチが備え付けてある。
そこに座っていたのは……。