ダンデライオン~春、キミに恋をする~

額に手をかざして、目を細めた。

見えるのは。




キラキラ光る、新緑の木々。

ちょっとだけ霞がかった青い、春の空。
真っ白な綿菓子の雲。

東校舎と西校舎の間に、こんな小さな中庭があったなんて。



まるで、箱庭だ。


キレイ……。

ちょっとだけ感動しちゃったりして。



「間宮、ここだ。 お!えらい、ちゃんと来てるな」



ショウちゃんのその言葉で、ふと視線を戻す。


ん?



「あ。 あああ!」





思わず叫んでしまう。



あたしのその声に、ショウちゃんに呼ばれたその人も顔を上げた。

若葉が生い茂っている木陰に、この箱庭にふさわしい古ぼけたベンチが備え付けてある。

そこに座っていたのは……。



< 28 / 364 >

この作品をシェア

pagetop