ダンデライオン～春、キミに恋をする～

立ち止まったあたしに気付いて、数歩先を行った響が振り返った。

「しーな？」って不思議そうに首を傾げて。
あたしは精一杯の笑顔を向けて、そして口を開いた。




「　響　」



震えないように、明るく。
明るく。



「もう終わりにしよ？」

「え？」



意味が分からないとキョトンとした響
でも、あたしはやめない。



「先生のことも、イツキ先生のことも。
立ち止まってたらダメなんだよっ」

「……」


振り返ったまま眉間にシワを寄せた響は、あたしに向き合うようにその体勢を変えた。

ジッとあたしを見据える響。
その瞳の引力に負けそうになる。

だけど、やめないよ？


「……前に、進もう？」

「前に、進む？」


あたしの言った事をおうむ返しする響がなんだかおかしくて。

……愛おしくて。

「うんっ」ってうなずくと、あたしは一歩、また一歩と響との距離を開ける。