ダンデライオン~春、キミに恋をする~
響がいなくなった
その場所に残ったのは
立ち尽くしたあたし。
響に“進め”なんて啖呵きっといて、まるでダメだ。
アハハ。
……あたし、自分から背中押すなんて……。
でも、これでよかったんだよね?
「……っ……」
緊張の糸がプツンと途切れたみたいに
次から次へと頬を伝う涙。
慌ててそれを止めようと拭うけど。
でも。
心にいっぱい積もってた響への『想い』はいつまでたっても無くならない。
「うっ……うぅ……」
響……
響がそばにいるだけで、あたし幸せだった。
あたしは響に笑っててほしい。
だって。
さっき神様にお願いしたの。
“大好きな人が、本当に笑える日が来ますように”って……。
その場に崩れるようにうずくまって、あたしは声を上げて泣いた。
泣いたって、わめいたって。
そう簡単にこの気持ちが無くなることはないけど。
それでも少しは軽くなるように。
あたしの心を守るために。
あたしは泣き続けた。
バイバイ
バイバイ
あたしの大好きな人……。