ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「……帰るついでに寄ってきます」

「おう。悪いな。じゃあ、素直な間宮にご褒美だ」


そう言って、ショウちゃんは重たい楽譜の上に何かを置いた。


「よろしくな」


あたしの頭をポンポンってすると、ショウちゃんは行ってしまった。




あの人天然なのかな……。

頭ポンポンって、やたらするもんじゃないよね?

勘違いしちゃう子、結構いると思う。




持っていたファイルを首に当てて、ダルそうに去って行くその後姿を眺めてから、手元に視線を落とした。



「えっ。ご褒美ってコレ?」



それはサイダーのキャンディ。
お口直しとかでもらえるような、小さなものだった。


ほんとショウちゃんて子供みたい。

あれ? あたしが子供扱いされてんのか?



……サイダー味、好きだけども。




はっ!
しまった!!

あたし日誌渡さなくてどうすんのっ

分厚い楽譜に隠れてるそれに気づいて、慌てて駆け出した。




「ショウちゃーーん!待って待って~」



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