ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「ごめんごめん。……クク。アンタってほんとドストライク」
「は?」
目じりに涙をためて、笑いをこらえながらそんな事を言う。
今度は別の意味で顔がアツくなる。
意味わかんないんだってば。
「あのね、全然悪いと思ってないでしょ」
ジロリと睨んでツーンと顔を背けると、大野健吾はさらに顔を覗き込んでくる。
「思ってるって。 怒んないで?」
……近い。
周りの視線をものともせず、2年生の下駄箱で、1年の大野健吾は余裕の笑みを零す。
最初に会ったときと変わらない短髪が、しっかりセットされてキラキラしてる。
耳たぶには、いくつものシルバーピアス。
……校則違反。なにも言われないのかな……。
間近で見るその顔は、綺麗でどのパーツも整っていた。
大野健吾のその威圧感?に、何も言えずたじろいでいると、大野健吾は何かを見つけて顔を上げた。
「あ、セーンパイ☆おはよっす。見て下さいよ~、椎菜の前髪!マジ小鹿」
はあ?
こじかってなに!?
てゆか、誰に話しかけてんの?