ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「ごめんごめん。……クク。アンタってほんとドストライク」

「は?」



目じりに涙をためて、笑いをこらえながらそんな事を言う。

今度は別の意味で顔がアツくなる。

意味わかんないんだってば。



「あのね、全然悪いと思ってないでしょ」



ジロリと睨んでツーンと顔を背けると、大野健吾はさらに顔を覗き込んでくる。


「思ってるって。 怒んないで?」



……近い。

周りの視線をものともせず、2年生の下駄箱で、1年の大野健吾は余裕の笑みを零す。

最初に会ったときと変わらない短髪が、しっかりセットされてキラキラしてる。
耳たぶには、いくつものシルバーピアス。

……校則違反。なにも言われないのかな……。


間近で見るその顔は、綺麗でどのパーツも整っていた。

大野健吾のその威圧感?に、何も言えずたじろいでいると、大野健吾は何かを見つけて顔を上げた。




「あ、セーンパイ☆おはよっす。見て下さいよ~、椎菜の前髪!マジ小鹿」



はあ?

こじかってなに!?




てゆか、誰に話しかけてんの?


< 298 / 364 >

この作品をシェア

pagetop