ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「ほらー!早くしないとHR始まるぞ~。いそげよぉ」



あ、ショウちゃんだ。

いそげと言うわりに全然急かしてないし……。

行き交う生徒たちに声をかけられて、楽しそうに笑ってるショウちゃんがなんだかおかしくて思わず笑ってしまう。


飴のお礼言わなくちゃ
ショウちゃんはご褒美って言ってたけど。


そんな事を考えながらショウちゃんを眺めていると、目の前を響が通り過ぎた。



あ~あ、行っちゃった……。



しゅーん。


その後姿を見つめたまま力が抜けたみたいに、下駄箱に寄りかかった。



「家政婦はミタ」



は?


突然頭上で声がして顔を上げる。


あたしと同じように下駄箱から身を乗り出して響を見送っていた大野健吾が、ジロッとその視線を落とした。

わ、わけわかんない事言って、すまし顔……。
なんな訳?



「……俺の忠告覚えてる?」



ギクリと震えたあたしをみて、大野健吾はフフンと鼻で笑った。
それから「ヨッと」って言いながら体を起こすと、階段へ向かって歩き出す。

< 301 / 364 >

この作品をシェア

pagetop