ダンデライオン~春、キミに恋をする~


それから、数日がたった。

お昼休み。
あたし達4人は机をくっつけてお弁当を広げていた。


「あ。男子がバカやってるぅ」


ゆっこのその言葉に、あたし達は窓の外を覗き込んだ。

桜の枝の向こう側で、数人の男子が楽しそうにじゃれ合っている。



「この寒いのに、よくやるよね~。ヤダヤダ」



そう言って、ぶるっと身震いしたのは沙耶。


もうすぐ3月だってのに、昨日の夜に降った雪が、辺りを白く変えていた。
男子は、ここぞとばかりに雪合戦にいそしんでいるのだ。

響は……いないなぁ。


てか、ほんと元気。

ん? あれは……。

卵焼きを頬張りながら、眺めているとその中に担任の姿を見つけた。



「あ、ショウちゃんもやってるよぉ」

「え? あ、ほんとだぁ。ってかいちばん必死。いちばん子供みたい」



のんちゃんが微笑ましげにそう言って、数人の男子に追いかけられてるショウちゃんを指差した。
すでにお弁当を食べ終えた沙耶が、呆れたように言う。


ショウちゃんって、25歳?だっけ。

あたし達より9歳年上のわりに、その差を感じさせないっていうのはあるなぁ。


うんうん。
サイダーの飴くれたりね。


「でもさ、そこがキュンときちゃうんだよね」


ゆっこが胸の前で手を組んで、うっとりと言った。


「わざとなのかなぁ。計算だったりして」

「ナイナイ!あの人は天然だよ~」


ひとしきりショウちゃんの話をした後、
女子4人の賑やかな会話は、いつしかそれぞれの恋バナになった。
沙耶の彼氏のコト。
のんちゃんとゆっこも、他校の男子といい感じだってコト。

あたしは黙ってお弁当を食べながらそれを聞いていた。


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