ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「ね、そー言えばさ」
突然、ゆっこがキャラメルミルク色のショートボブの髪を揺らして、身を乗り出した。
その視線の先はあたし。
へ?
「シィに聞きたい事あるんだけどぉ」
まるで探偵さながら、パッチリ二重の大きな瞳をキラキラさせて頬杖をついた。
ドキ
「なに?」
「最近、年下イケメンくんに迫られてたらしいね?」
「ぶっ」
かぶりついたばかりのおにぎりを思わず落っことしそうになった。
せ、迫られてた!?
その隣でのんちゃんが同じようにうなずいて、ふたつに結んである髪をクルクルと指先でいじっている。
沙耶はズズズとジュースの残りを飲み干して、今度はあたしに視線を移した。
「この前、下駄箱で楽しそうに話してるの、けっこう見た人いるんだってぇ。
ま、あんな場所でイチャイチャしてたら、誰だって気付くよね~」
い、イチャイチャ?
「ち、違うよ! あれはアイツが……」
あたしの前髪をバカにしてただけで。
「アイツだって。仲いいんだ。ってかいつの間に?だよぉ」
「仲良くないって! いつもバカにされてて」
「それを仲が良いって言うんだよ? 結構人気あるらしいよ、あの子」
含み笑いのゆっこに全力で抗議する。
でも、のんちゃんが、ふふふって笑うからあたしの勢いが半減してしまった。
それから「それに」って人差し指で頬をトントンとしながら、思い出したようにに宙を仰いだ。