ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「見た目チャラいけど、首席で入学してきたんだって聞いたよ」
「わーお。頭いいんだ」
沙耶がばっちりメイクの瞳をさらに大きく見開いた。
ふーん。そうなんだぁ
残りのおにぎりをもぐもぐ。
って……しゅ、しゅ、しゅしゅしゅ首席!?
学年トップ!!?
見えない……。
ギャップありすぎ。
てか、人は見かけで判断できないな……。
ふたりの会話をポカンと聞いていると、再びゆっこたちの視線はあたしへ向けられた。
うっ、まだ続いてる?
「で。ほんとのことはどーなの?」
ビク!
「告られてたりして」
ビクビク!
「あーっ!」
耐え切れずにガターンって思い切り立ち上がった。
その勢いで、椅子が物凄い音を立てて、後ろへさがる。
一瞬シンとなった教室。
クラスメイトの視線が痛い……。
ゆっこものんちゃんも、沙耶もぎょっとしてあたしを見上げてる。
ひえええ。
「あ……あたし、ジュース買ってくるよ!みんなのぶんも買ってくるから待ってて」
広げていた弁当箱を慌ただしくしまうと、鞄から財布を取り出して、逃げるように教室を飛び出した。