ダンデライオン~春、キミに恋をする~
・胸に響く旋律
はあ……。
やっちゃった……。
まずったよぉ。
ゆっこたち変に思ったよね。
響とのコト。
大野健吾のコト。
まだ沙耶にしか言ってなかったら、焦った……。
1階にある購買までとぼとぼと歩く。
その時、カーディガンのポケットでケータイが震えた。
見ると、それは沙耶から。
『ふたりにはうまく言っとくから
気にしないで帰っておいで』
うわ~ん
沙耶~~
沙耶の優しさに、涙が出そう。
購買は、食堂の入り口にあった。
あたしは4人ぶんのジュースを買ってまた教室へ向かった。
下を向いて歩いていたせいで、教室の前の廊下を曲った時、誰かとぶつかってしまった。
持っていたパックジュースがバラバラと廊下に散らばる。
わわわ!
「っ、ご、ごめんなさい」
ボーっとしすぎだよぉ
ペコリと頭を下げて、落ちたジュースを拾っていると、ふいに足元に影が落ちた。