ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「成田もいいなー? 編入早々悪いけど、これ決まりだから」
「はい」
成田くんは素直に頷いてベンチから立ち上がると、木陰からゆっくりと歩いてくる。
その様子を横目で見つつ、ショウちゃんに声をかける。
「それで……、どのへんを……」
「どのへんって、全部に決まってんだろ。 あと水やりも忘れるなよ? と、言うわけでよろしく」
「えっ、水やりも?!」
ギョッとして顔を上げると、さっさと背を向けて行ってしまうショウちゃんがいて。
ヒラヒラ手を振っている、なんともいい加減なセンセ。
開いた口が塞がらず、校舎の中に消えていくその背中を呆然と見送る事しか出来なかった。
「……」
いくら小さくても、ちゃんとした中庭。
花壇には、大きな花を揺らすチューリップ。
紫や黄色で彩を添える、パンジー。
そして、芝生にはたくさんの黄色いタンポポが咲いてる。
綺麗な花たちのすぐそばで、雑草たちも、元気に生息してる。
……雑草だって、頑張って生きてるんだ。
とっちゃったら……かわいそうだよ!
ショウちゃんのバカーっ!