ダンデライオン~春、キミに恋をする~



「でもね? これには副題と言われてる言葉があるのよ?」

「副題?」





「ええ。 それはね?…………」




先生の言葉は、まるでピアノの旋律だ。

キレイで 儚くて

繊細で いくつもの音を奏でる。





「深い感謝」


にっこり笑って言った泉先生の隣で、同じように穏やかに微笑んでいたショウちゃんは小さく付け加えた。


「あとは。 愛する人への祈り」




愛する人へ……祈り……




涙が出た……。

ストンと心に落ちてきた、その言葉。

頬に次々を溢れだすそれは、ポタポタとコンクリートの上に落ちて黒いシミを作る。



響……。

響はどんな気持ちで、ピアノと向き合ってたの?


ねえ、声が聴きたいよ……。


いつもみたいに、ふわふわの髪を揺らして、笑って?





先生達は、音楽は引き手の表現によって、受け取り方が物凄く変わる。
その曲を聴いてどう感じたか、それが大事って言ってくれた。


あたし……

あたしは……



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