ダンデライオン~春、キミに恋をする~

「成田くんはもう帰ってもいいよ?あたし、これ片しとくから…………それじゃ、またね」


必死で笑顔を作り、ガックリうな垂れて彼に背を向けた……。

緊張と恥ずかしさでゆでタコ。
ついでに、ものすごい疲労感。

家に帰ったら反省会しなくちゃ。
もっと自然に話せるように……。


トボトボと校舎に向かったその時。






「きゃっ……」



花壇に足を引っ掛けて、そのまま前にバランスを崩した。

こ、転ぶ!




「…………」



カランコロン…………



足元に転がったジョーロが、ユラユラ揺れる。

まるでスローモーション。




「大丈夫?」

「っ……」





転びそうになったあたしの腕を、咄嗟に引き戻してくれた、成田くんの手。

振り向くと同時に、さらに腕を引かれる。



一瞬にして距離が縮まって、すぐそばで甘い香りがした。




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