ダンデライオン~春、キミに恋をする~

これ、響にもらったんです。

って、恥ずいから言えないよ~


真っ赤になって俯いたあたしにイツキ先生は不思議そうな顔をする。



うわわ
ってか、あたしスウェットだったぁ
イツキ先生にこんな恰好見られたくなかったよぉ


モジモジと俯いていると、イツキ先生の小さな声が聞こえた。



「―――たんぽぽ、だね」



その言葉に顔を上げると、なぜかとても懐かしいような穏やかな顔をしてるイツキ先生がいて。

今度はあたしが首を傾げる番。

しばらくなにかを考えるように、たんぽぽをモチーフにしたヘアピンを眺めていると、先生は思い出したように「あ」って言った。



「ね。たんぽぽの花言葉、知ってる?」



え? 花言葉?



それって……たしか前に響が教えてくれた……。



「思わせぶり……ですか?」



あたしのその答えに、イツキ先生は満足したように「うん」って笑う。


「思わせぶり、解き難い謎……色々言われてるよね」


解き難い、謎?



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