ダンデライオン~春、キミに恋をする~
ドクンって、胸が軋む。
長いまつ毛。
まるでビー玉みたいな綺麗な瞳。
ぷっくりと熟れた果実のような、唇。
響と似たイツキ先生は、その瞳の中にあたしを移したまま口を開いた。
「――弟といてくれてありがとう」
「………」
それは、家族を愛する、とても。
とっても暖かい言葉。
「おかげでちゃんと話が出きた。
僕の気持ちを伝えることが出来た。 これで今までの溝が全部埋まったとは思えないけど……。それでも、ちゃんと向き合ってくれようとしてるみたいだから」
そう言って先生は、ちょっぴり照れくさそうに笑った。
ほんとに、響を大切に思ってるんだな……。
先生のその言葉が、あたしの真っ黒に染まっていた心に白い絵の具を落とす。
黒が白に戻ろうとしてる。
救われた気がした。