ダンデライオン~春、キミに恋をする~
彼の香りが、する。
ドクン
ドクン
心臓が、すごい速さで加速する。
甘い花の蜜の香りと、成田くんの存在に目眩がする。
太陽の日差しをうけて、彼の色素の薄い柔らかな髪が、キラキラと光っていた。
きれい……。
髪の毛……気持ちよさそう……。
「……、……、ん……間宮さん?」
スルリと離れた腕のぬくもり。
止まっていた時間が、急に動き出した気がした。
すぐそばであたしを覗き込む瞳が、不思議そうに何度も瞬く。
……はっ!
「あ、ご、ごめんね……あたしってば、ほんとなにしてんだか……」
うう、穴があったら入りたい~!
あたしのバカバカ!
真っ赤を通り越して、火を噴きそうな頬を隠すようにうな垂れた。
と、その時頭の上でなにかを我慢するような気配が……。