ダンデライオン~春、キミに恋をする~


学校につくと、もうたくさんの生徒で溢れていた。

ドキドキしながら教室に入ると、すぐにあたしに気付いた沙耶が駆け寄ってくる。



「おはよ、シィ」

「おはよぉ、沙耶」


にっこり笑ったあたしを見て、沙耶が目を細めた。


「……泉ちゃん、ショウちゃんと結婚すんだってね」

「……うん」


その噂は、もう学校中に広まっていた。
誰かが職員室で先生同士が話してるの、聞いたんだって。


あたし、泉先生の名前にはもう惑わされないよ?

過去なんて関係ない。
重要なのは、これからだし。

もっと大事にしてあげなきゃいけないのは、あたしのこの『想い』だったんだもん。



―――その時。

ガラガラって勢いよく教室のドアが開いた。



「おおーい! みんな廊下に並べよぉ」



いつもと同じように、ショウちゃんがちょっとだけダルそうに顔を出した。

その瞬間、教室に巻き起こる歓喜の声。



「おめでとぉ~~」

「ヒュー! 聞いたぜ、ショウちゃんまじずりぃ!」

「泉ちゃんなんて羨ましすぎる~」

「つかマジ気付かんかった!」



次々を声をかけられて、ショウちゃんは驚いたように目を丸くした。

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